オレの手をしっかりと握って
姉さん相田理恵
早足でいつもの学園へ通う道を歩いていく。

今朝早く、単身赴任してる親父の元へ
また母さんが嬉しそうに行ってしまったのだ。

結婚してもう十何年も経つ、うちの両親の仲睦まじさときたら、
見てる方が恥ずかしくなるくらいだ。

子どものことより親父のことが気になって仕方ない母さんは、
まるでデートにでも行くみたいにウキウキとした表情で、荷物を揃えていた。

(今度は2週間だって言ってたっけ……)

それがいつもの光景だ。


それが、放課後……。

まったく誰もいないと思いこんでいた校舎の裏で
偶然にも姉が知らない男に告白されているのを目撃してまう。

しかも…
別の好きな人がいて、その告白を断っている様子を…。



その日の夜…
姉に心にひっかかっていることを口にした

「姉さんって好きな人いる?」

姉さんの顔が優しく微笑みながらオレを見つめていた。

「……ねぇ? わたしの気持ち、そんなに気になる?」

いつもとは違う二人っきりの生活が始まろうとしているのだ。